介護付き有料老人ホーム(要介護型)
主に民間企業が運営する介護付き有料老人ホーム(要介護型)は、ホームが介護サービスを提供する老人ホームで、多様な設備やサービスが特徴です。
介護保険のサービスがセットになった有料老人ホーム
有料老人ホームは、厚生労働省及び自治体が定めた設置基準をクリアし、都道府県への届け出を受理された高齢者住宅です。「介護付き」「住宅型」「健康型」の3類型があり、協力医療機関が必ず設定されています。介護付き有料老人ホームは、老人福祉法と介護保険法に基づいた施設です。後述する「住宅型有料老人ホーム」と異なるのは、介護保険制度における特定施設入居者生活介護を提供することが認められていること。これにより、入居するとホームが提供する24時間の介護や生活支援、日常的な健康管理や医療的支援などのサービスを受けることができます。
職種ごとに入居者数に応じた厳しい人員配置が定められており、夜間も必ず介護職員が勤務しているほか、看護師も必ず配置されています。介護付き有料老人ホームは24時間ケアが介護保険で受けられるので、介護費用が安定している点がメリットです。ただ、介護保険の利用限度額をすべてホーム提供のサービスで使い切るため、外部サービスや福祉用具レンタル等には介護保険が利用できません。また支払う介護費用は、介護を受ける入居者の介護度ごとの限度額の自己負担分に固定され、受けたサービスに相当しないケースも出てくることを知っておきましょう。
ホームによって、設備・人員体制はさまざま
設備は、13㎡以上のトイレ・洗面付きの個室と共有スペースである食堂やリビング、浴室などで構成されており、重度介護対応に必要な特殊浴槽(機械浴)が必ず設置されています。また、ホームによっては、看護師が24時間常駐していたり、リハビリの専門職が配置されているところもあります。
介護付き有料老人ホームは、主に民間企業が設置主体であり、設置基準を満たしていれば、それ以上の設備やサービスを提供するのも自由です。このため、ホームの人員体制、居室や共有スペースのグレードや設備、提供するサービス内容などは、ホームによって大きく異なります。
一般的に要介護者向けホームは、65歳以上・要支援1以上の人が入居対象となっています。その上で、要介護1以上でないと入居を受け付けない「介護専用型」や、自立もしくは要支援1以上の人から入居できる「混合型」などがあるので、事前に入居条件を確認することが大切です。
ホームごとの費用の差が大きい
民間の有料老人ホームは、費用についてもホームごとの差が大きく、たとえば入居金であれば0円から数億円、月額の費用も15万円前後から100万円ほどまでと非常に幅広く、公共タイプの施設に比べると、総じて高額となります。 要介護型の介護付き有料老人ホームの場合は、費用の差は主にスタッフの数と、それによるサービスレベルの差です。このため予算によって、生活の安心感や快適度に違いが生じることを理解しておきましょう。
今後のさらなる転換と普及が求められる
介護療養型医療施設に代わる新たな受け皿として創設された介護医療院は、政府の方針によって積極的な転換が促されています。転換の対象となる介護療養型医療施設の数は、全国で約5万床にのぼるといわれます。しかし、意外に転換は進んでおらず、2018年4月から12月末までに転換したのは合計で113施設・7414床に留まっています。
介護付き有料老人ホーム(要介護型)の特徴
根拠法 | 老人福祉法、介護保険法 |
---|---|
運営主体 | 主に民間企業 |
入居対象 | 要支援~要介護 |
年齢 | 主に65 歳以上 |
介護サービス | 施設提供 |
医療処置 | 日中帯可(24 時間可もあり) |
看取り | 可 |
入居金 | 0 ~ 3,000 万円 |
月額料金の目安 | 15 ~ 100 万円 |
出典:岡本弘子『高齢者施設の費用・選び方・手続きのすべて』ナツメ社
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