特別養護老人ホーム
介護保険制度に基づいた施設で、要介護度3以上の人が、そこで暮らしながら日常生活を支える介護サービスを受けることができます。
要介護者向け・公共タイプの代表的施設
要介護者向け・公共タイプの高齢者施設の代表といえるのが、特別養護老人ホームで、“特養”とも略されます。介護保険制度上は「介護老人福祉施設」というのが正式な名称で、介護老人保健施設や介護医療院と並んで、介護保険制度における居住型施設である介護保険3施設のひとつに挙げられます。
高齢者の「住まい」としての機能が充実
特養は、他の介護保険施設に比べて、「住まい」としての性格が強いことが特徴です。居室については、ひとり当たりの床面積は10.65㎡以上、居室の定員は4人以下などという基準が定められており、定員が2名以上の「多床室」をはじめ、10人(室)ほどの生活単位ごとに共用スペースが併設される「ユニット型個室」、可動しない間仕切りなどで居室が仕切られ、完全な個室になっていない「ユニット型準個室」、ユニットが構成されていない「従来型個室」があります。
こうした住まいとしての機能に加え、都道府県が定める「特別養護老人ホームの設備及び運営に関する基準」に従って、食事や入浴、排せつといった日常生活の介護や機能訓練、健康管理、療養上必要な介助などが提供されます。一方で、医療的なケアやサービスには、あまり重点が置かれていない場合が多く、日々の健康チェックや服薬管理などは行われますが、それ以上の専門的な医療に関するケアが必要な場合は、原則的には通院や入院が必要となります。ただし最近では、特養で臨終を迎える人も少なくありません。このため末期の悪性腫瘍の場合は、特養の入所を継続したまま、訪問看護を受けることで、医療に関するサービスが受けられるところも増えてきました。
医学的な管理が必要な人は、入所できないことも
特別養護老人ホームは、老人福祉法と介護保険法に基づいた施設であり、入所できるのは「65歳以上で要介護3以上の高齢者」「40歳~ 64歳で特定疾病が認められた要介護3以上の人」「特例により入居が認められた要介護1~2の人」に限られています。また、この3つのいずれかの条件に合致しても、医学的な管理が必要な人の場合は、入居ができないこともあります。
36万人以上が待機者になっている
特養への入所を希望する際は、直接施設に申し込みをします。ただし自治体によっては、市区町村に申請する場合もありますので、事前に確認が必要です。また、特養への入所希望者はたいへん多く、申し込んでもすぐに入所できない待機者は、以前よりも減少したものの2017年の時点で36万6,000人に及び、申し込んでもすぐには入れない状況になっています。また、申込順に入居できるのではなく、より重度や身寄りがないなど、生活困窮度が高い人が優先になります。
特別養護老人ホームの特徴
根拠法 | 老人福祉法・介護保険法 |
---|---|
運営主体 | 社会福祉法人・地方公共団体 |
入居対象 | 要介護3 以上 |
年齢 | 原則65 歳以上 |
介護サービス | 施設提供 |
医療処置 | 日中帯は可 |
看取り | 可 |
入居金 | なし |
月額料金の目安 | 所得によって5 ~ 15 万円 |
出典:岡本弘子『高齢者施設の費用・選び方・手続きのすべて』ナツメ社
他の記事を読む
ステップ
1
自分の状況に当てはまる高齢者施設への入居事例から、
イメージしましょう
ステップ
2
高齢者施設の種類や違いを理解しましょう
ステップ
3
高齢者施設の費用を理解しましょう
ステップ
4