2025年3月5日号  6面 掲載

包摂的社会へ進展 SIPシンポジウム

2025年3月11日

国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所(大阪府茨木市)は2月4日、内閣府後援による戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)「包摂的コミュニティプラットフォームの構築 シンポジウム2024」をハイブリッドで開催。すべての市民が境界なく支え合う社会に向けた各者の考え方や取り組みが語られた。

 

 

社会実装アウトカムに参加者へ協業呼びかけ

 

開会挨拶および講演として、筑波大学スマートウェルネスシティ政策開発研究センター長の久野譜也氏が「包摂的コミュニティプラットフォーム開発2年目の現状と今後の方向性」と題し登壇した。同プロジェクトでは、「社会の寛容性向上策(コミュニティ再生)」「個人の自律性向上策」「子育て世代・女性の幸福度向上策」「障がい者・高齢者の生きがい向上策」のサブ課題が稼働。うち「社会の寛容性向上策」の評価の仕組みを強化すべく、今年度は「自律性」「寛容性」「つながりと参加」など7つの要素を抽出したと報告した。

 

高齢者の外出・社会参加の促進においては、2人乗りの低速モビリティを多摩市で試験的に導入し実証を行う。また、「福祉×金融」の連携により、認知症が疑われる高齢者の情報を金融機関から自治体・福祉機関に共有するモデル実証についても解説。「アカデミアでは論文を重視しがちだが、SIPのアウトカムはあくまでも社会実装」と久野氏。500人超の傍聴者に協業を呼びかけた。

 

続くパネルディスカッション「日本の包摂性が低下した原因と今後の改善策を考える」では、モデレータを務めた社会福祉法人サン・ビジョンの唐澤剛理事長が「『個人の自律性向上』が目指される中で、『自律』ではなく『孤立』が進んでしまったケースもある」と提起。パネリストとして登壇した大和ハウス工業の神田昌幸執行役員は、趣味やスポーツなどの「サブコミュニティ」の重要性と効果について述べた。

 

後半の特別講演では、カーブスホールディングスの増本岳氏社長、三井不動産の加藤智康常務、大和リースの森田俊作会長が登壇。2つのシンポジウムも行われた。

 

 

パネルディスカッションの様子

 

 

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