【コラム】介より始めよ
2023年10月25日
ACPについて考えている。筆者の祖母は90歳で癌になり、末期には大学病院から在宅復帰を目指し地域の病院に移ったが、そこで最期を迎えた。亡くなる1ヵ月前には腹膜転移を起こしてしまい、ストーマ造設が話し合われた。造設しなければいつ亡くなるかわからない。十分な検討の時間はなく、父と祖母が話をしてストーマが造設された。
祖母は癌が進行するまで、本当に元気だった。ほぼベッドで過ごす日々でも、トイレに自力で行っていた。しかし造設されたストーマの便を誰かが扱う度に涙ぐみ「ごめんね」と言った。そこから1ヵ月も経たずに亡くなった。
手術を話し合った時、造設後の祖母の気持ちまで考えられていただろうか。祖母の生き様から、尊重すべきはほかにあったのではないか。ACPは「元気なうちから、何度も話す」ことが大事だという。その重要性を改めて噛みしめる。
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