【コラム】 介より始めよ
2023年4月5日
東京都美術館で開催中の「エゴン・シーレ展」に行ってきた。彼の代表作の1つ「ほおずきの実のある自画像」などは、近寄って見てみると顔の部分に薄い色が繊細に塗り重ねてある。ほおずきと本人の緊張感のある構図も特徴らしい。
その芸術的な価値の高さを差し置いても、どの作品もどの作品も見ていてとにかく心地が良い。フォントや色の組み合わせ、線の歪み具合、モデルの女性の服装────視覚的なセンスに溢れている。何も 知らない状態で見ても、何時間でも見ていられるような陶酔感を覚えた。とはいえ観覧してすぐにスマートフォンで検索して調べたくなってしまうのは現代人の性か。
感覚的な心地よさを追求する仕事は、どことなくアナログなイメージがある。仮想現実とい 新たな世界も広がりつつある今、人間と科学が手を取り合って高次の「快」を目指す時代が来たということなのだろう。
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