【福祉用具サービスの真価】福祉用具の有用性と専門性②/ヤマシタ 山下和洋氏
福祉用具専門相談員の専門性向上
第3回目となる福祉用具専門相談員研究大会が6月に開催された。自己研鑽・相互研鑽を積み、福祉用具専門相談員や福祉用具サービスの存在感を高める場として2019年からスタートした本大会。今回のテーマは「福祉用具の未来につながる専門性の追求〜PDCAサイクルの推進は福祉用具の適合が鍵〜」だ。
エビデンスに基づく科学的介護の推進が叫ばれる中、福祉用具サービスのPDCAサイクルを推進するには定量的な評価指標を取り入れることが重要となる。
例として当社の作業療法士が研究大会において発表したのが、バーセルインデックス(BI)を使った福祉用具の評価だ。BIはLIFEでも必須入力項目として用いられており、標準指標として今後も重要性が増していくだろう。
他にも福祉用具の評価指標として、福祉用具心理評価スケール(PIADS)、カナダ作業遂行モデル(CMOP – E)なども活用の可能性を感じている。ただし、介護現場で働くスタッフの事務負担は増えることから、介護現場に求められている生産性向上とのバランスは考慮する必要がある。
福祉用具専門相談員の専門性向上において、当社は福祉用具貸与事業への参入以降、業界をリードしてきた。福祉用具専門相談員の職能団体としての「ふくせん」の立ち上げ、当社が独自に行っていた福祉用具専門相談員として求められる知識や習熟度を問う「ヤマシタテスト」を「福祉用具専門相談員実力ランキングテスト」として業界全体の取り組みに広げ、業界のレベルアップに取り組んできた。
当社独自の専門性向上の取り組みもある。900名以上の福祉用具専門相談員資格を持つ社員に対して年間延べ300回の研修を実施している。研修の内容は、商品知識を養うものから、車椅子に乗る体験をするもの、高い成果を上げる社員の行動から学ぶものなど様々だ。今年度からは、福祉用具専門相談員研究大会にならい、社内の研究大会も開催を始めた。
これからは、福祉用具専門相談員の専門性向上の中にテクノロジーの活用も含まれていくだろう。次回は当社が取り組むAIによる歩容解析サービス活用とその狙いについてお話ししたい。
山下和洋
株式会社ヤマシタ 代表取締役社長
2010 年慶應義塾大学法学部法律学科を卒業後、 株式会社ヤマシタ入社。2013 年、先代社長であった父が急逝し、25 歳の若さで代表取締役社長に就任。小学校で社会保障制度に関する卒業論文を執筆。2020 年、ダイヤモンド経営者倶楽部「Managementof the year」を受賞。先代社長は福祉用具専門相談員全体のレベル向上を目指す職能団体「ふくせん」を発起人として設立。