2025年3月5日号 13面 掲載
【最終回◇未来の介護を創るDX】在宅介護プラットフォーマーへの変革 / ヤマシタ 小川邦治氏
ニーズに応える体制整備
これまでの連載では、AI活用やローコード/ノーコード開発、データアナリティクスなど、ヤマシタが取り組むDXについてお伝えしてきました。最終回となる今回は、これらの取り組みを通じてヤマシタが目指す未来と、その実現に向けた戦略について紹介します。
ヤマシタは、介護用品レンタル事業の枠を超え、テクノロジーを活用した多様なソリューションを提供する在宅介護のプラットフォーマーへの変革を目指しています。図は、ヤマシタが目指す在宅介護プラットフォーマーの全体像を表しています。中心には利用者が位置し、EC、アプリ、IoT、ロボット・デバイスなどのデジタルツールなどを活用しながら、医療・健康、食、保険、住宅、エンターテインメントなどの分野ともつながり、あらゆる在宅介護のニーズに対応できる体制を整えていきます。

様々な分野との連携を視野に入れている
この変革を実現するために、2025年から27年の次期中期経営計画期間を在宅介護プラットフォーマーの基盤を築く重要な時期と位置付けています。DX・システム部門の体制を強化し、システムエンジニアの採用・育成を加速させることで、データ・AI活用やシステム開発の内製化を推進します。個々のニーズに応じた情報やサービスをタイムリーに提供できる環境を整えることで、利用者や家族、介護従事者にとって必要なサービスを必要な時に提供できるようになることを目指します。
また、ローコード/ノーコード開発(市民開発)を活用し、現場の社員が自ら業務改善アプリを開発できる環境を整え、DXを企業文化として根付かせることを目指します。24年度時点で全社員の2.67%にあたる72人が市民開発者として活動していますが、27年にはこの割合を10%まで引き上げる計画です。これにより、より多くの社員がデジタル技術を活用し、業務改善を主体的に進めることができるようになります。
ヤマシタは、今後も業界をリードしながら、持続的な成長と社会的価値の創出に向けて邁進していきます。
ヤマシタ 社長室DX推進責任者 小川邦治氏
2005年早稲田大学大学院商学研究科を修了後、日本電気を経て、アクセンチュアに入社。同社では、製造流通業向けのコンサルティング業務に従事し、業務・システム改革、IT戦略立案/ 組織改革、DX推進支援など多くのプロジェクトを支援。22年12月からDX推進責任者としてヤマシタに参画し、デジタルを活用した社内改革や新規ビジネスの構想・推進などを担当。