2025年2月5日号 8面 掲載
【地域をかける在宅医】二足の草鞋で医療課題解決へ 医療法人社団季邦会理事長/街のクリニック立山・村山院長 鎌形博展医師
医療法人社団季邦会 理事長
街のクリニック立山・村山 院長
鎌形博展医師
中外製薬株式会社を経て医学部に編入学。東京都立多摩総合医療センター・東京医科大学病院救命救急センターを経て、慶應義塾大学大学院経営管理研究科・Dartmouth Collegeにて医療政策・経営管理を学ぶ。東京大学大学院工学系研究科などでスタートアップを立上げ、2019年「街のクリニック」開業。2020年医療法人社団季邦会理事長に就任。2023年株式会社ENを創業。
法人概要
設立:2019年
法人本部:東京都立川市
訪問エリア:北多摩西部拠点数:5拠点(内訪問診療1拠点)
患者数:外来約3500人/月・在宅約200人(2025年1月現在)
幼少期は病気がちで頻繁に病院に通っていたことや、母が薬剤師として働く姿を見て育ったことから、自然と薬学部を志すようになり、卒業後は製薬会社に入社した。
しかし、人生の転機は突然訪れた。親しい友人2人がほぼ同時期に亡くなり、惰性で生きていくのは良くないと人生を考え直した。「より多くの人の役に立たちたい」その想いが一層強くなり、医師になることを決意した。
医学部卒業後は救急医として災害医療に携わった。次第に、現場で感じる医療政策や経営課題への知識を深めたいと思い、その両方を学べる慶應義塾大学大学院に入学した。ここでの経験は自身の視野をさらに広げ、スタートアップ企業の医療機器開発支援や地域医療への新たな挑戦を後押ししてくれた。
クリニックを承継し、2019年に開業。臨床の実践を深めながら、医療業界全体の課題に目を向けるようになった。医療における本質的な課題は「人」であると痛感した。特にコロナ禍でそれが浮き彫りとなった。
医療従事者の採用が困難を極めるなか、高額な紹介料を払っても人材の質が担保されるわけではない。人材エージェントのモラルハザード問題を解決するため、医療機関・医師がどちらも無料で利用できる医師の採用プラットフォーム「Med-Pro Doctors」の開発に至った。
医療業界の課題解決に向けて、今後もクリニック運営とスタートアップの両側面から挑戦したい。
おすすめの一冊:「イノベーション・オブ・ライフ」クレイトン・M・クリステンセン著(翔泳社)
趣味・休日の過ごし方:二人の子と一緒に剣道の稽古、山奥でBBQ