2024年11月27日号  10面 掲載

【地域をかける在宅医】訪問看護師のコミュニケーション力は偉大 医療法人凌仁会理事長 / ホームケアクリニック田園調布院長 小林徳行医師

2024年12月2日

 

 

医療法人凌仁会 理事長
ホームケアクリニック田園調布 院長
小林徳行医師

 

 

1991 年日本医科大学卒業、日本麻酔科学会専門医、日本ペインクリニック学会専門医、日本蘇生学会専門医。2013年日本医科大学退職、14年ホームケアクリニック田園調布開設。

 

 

法人概要
設立:2014年
法人本部:東京都大田区
訪問対象エリア:東京都城南地区、川崎市
患者数:約180人(2024年11月現在)

 

麻酔科医として大学病院で約20年間勤務していた。その後、緩和ケアチームを立ち上げる機会を得ることになり、大学病院の緩和ケア研修会の企画責任者を任された。地域で訪問診療に携わる医師とも関わることとなり「在宅医療」という分野を知ることに。患者の生活そのものを支える在宅医療とは一体何か。それを追求するため、週末は在宅クリニックでアルバイトを始めた。

 

患者の既往歴や合併症の把握、緊急対応力が求められる麻酔科医としての知識・知見がここで生きた。その法人は当時約1500 人もの患者を抱えていた。気づけば1 日に30~40件のオンコールにも一人で対応するようになり、その手応えを感じた。開業への関心が確信へと変わった経験だった。

 

今年で開業して10年。経験を重ねるごとに、医療現場で「ナラティブ」が果たす役割の深さを知る。この分野に身を置いて、病院では経験することのなかった「看取り」と初めて向き合う。患者に寄り添った医療を提供するためには「情報」が必要だ。家族・患者はどんな思いで在宅を選んだのか。今希望していることは何か。バックグラウンドや家族の関係性は――。それらを引き出してくれるのが、「おしゃべり」である。

 

診療時には積極的なコミュニケーションを心がけているが、医師1人では限界がある。患者や家族の中に自然と溶け込む看護師の存在は偉大だ。「おしゃべり」ができる医療チームをこれからも築いていきたい。

 

 

おすすめの一冊:「病院で死ぬということ」山崎章郎 著( 文藝春秋)
趣味・休日の過ごし方:子供のサッカーの付き添い、待ち時間にゴルフ練習も

 

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