2024年11月6日号 6面 掲載
介護食市場堅調に拡大 調理品、28年に1兆7000億円超予測 矢野経済研究所
矢野経済研究所(東京都中野区)は10月10日、国内の①介護食や②高齢者向け食品、③病者向け食品、④調理品(病院や施設の給食、弁当などの配食サービス)の市場について調査。セグメント別の将来展望などを明らかにした。調理や配膳のオペレーション省力化を追い風に、市場規模は今後も堅調に拡大する見通しとした。
2023年度の①介護食、②高齢者向け食品、③病者向け食品を合算した国内市場規模は、加工食品がメーカー出荷金額ベースで前年度比102.7%の1998億円。④の調理品が末端売上高ベースで同103.5%の1兆5555億円と推計している。
内訳をみると、①介護食の加工食品市場が1350億円、②高齢者向け食品の加工食品市場が300億円、③病者食の加工食品市場が348億円。調理品市場の詳細を見ると介護食の調理品市場が5780億円、高齢者向けの調理品市場が3869億円、病者食の調理品市場が5906億円。成長率は病者食の加工食品市場が前年度比99.4%だったが、ほかのカテゴリでは数% 伸長する結果となった。
市場拡大の背景に、同社は病院や施設における食事提供の省力化ニーズを挙げている。特に小規模高齢者施設では喫食者数が少なく運営効率が悪い上に、人手不足で雇用の確保も難しくなっているとした。調理や配膳オペレーションの省力化を目的に、加工食品や完全調理品の活用が徐々に浸透し、着実に市場を拡大しているとした。
今後も、高齢化や単身化を背景に、介護食、高齢者向け食の加工食品や調理品の市場は拡大すると同社は予測している。一方、病院などで使用する加工食や調理品の市場は、腎臓病治療における食事療法の位置づけが低下していることで、たんぱく調理品などの使用が減少すると見込む。
2028年度の介護食、高齢者食、病者食の加工食品の市場規模は2215億円まで拡大すると予測。調理品は1兆7232億円まで拡大すると予測した。