2024年8月14日号 11面 掲載
【地域をかける在宅医】在宅医療を身近なものへ 医療法人碧水会理事長 / 八潮駅前在宅クリニック院長 三木誓雄医師
医療法人碧水会 理事長
八潮駅前在宅クリニック 院長
三木誓雄医師
1984 年三重大学医学部医学科卒業。専門は消化器内科、緩和ケア内科、感染症内科、腫
瘍内科。三重大学病院、伊賀市立上野総合市民病院などを経て、2019 年より在宅医療に
携わる。2022 年医療法人社団碧水会理事長 八潮駅前在宅クリニック院長就任。
法人概要
設立:2014 年
法人本部:千葉県柏市
訪問対象エリア:北海道西南部、千葉県北西部、埼玉県東部・中央部
患者数:約1500 人(2024 年7 月現在)
「医師になりなさい」。転勤が絶えなかったゼネコン勤務の父の言葉を受け、憧れていた船乗りではなく、医学部に進学した。
当時国内では法的に認められていなかった脳死臓器移植を学ぶため、30 代でイギリスに渡り、2年弱臨床と研究に没頭した。国際的に著名な外科医であり、国境なき医師団でも活動していたポール・マック・マスター医師に師事。紛争地や被災地などの厳しい環境下で救急医療に向き合う姿に感銘を受けた。
その後も約30 年、大学病院や市民病院に勤めた。病院では患者とかかわる期間が短く、術後の経過やフォローが十分にできないことが心残りだった。院長に就任した病院では経営再建に全うし、黒字化を果たしたことで、一区切りがついた。
集大成として、患者の生活に寄り添う在宅医療へと舵を切り、2019年に在宅クリニック院長に就任。しかし、現実は厳しかった。専門職や家族から理解が得られず、在宅での最期が叶わなかった患者がいた。その患者は入院後、一切の食事を拒否。2 週間後に亡くなった。どうにか在宅で過ごせる方法があったのではないか。悔やんでも悔やみきれない。
在宅医療には本人はもちろん家族、専門職への理解が欠かせない。在宅医療をもっと身近なものにするため、今後は啓発活動と在宅医療の標準化に全力を注ぎたい。
おすすめの一冊:DIE WITH ZERO(ダイヤモンド社)ビル・パーキンズ[著]、児島修[翻訳]
趣味・休日の過ごし方:ストレッチング、筋トレ