2024年7月10日号  1面 掲載

【コラム】介より始めよ

2024年7月10日

板橋区にある東京都健康長寿医療センターは、老年医学の草分け的存在として知られている。その起源をさかのぼると、1872年に東京府が設立した救貧施設「養育院」にたどり着く。初代院長は、かの渋沢栄一だ。

 

開設当初、貧民の「収容所」であった同院。病人・高齢者に療養を、貧しい子ども達に教育を提供する場へと、渋沢が変えた。
 

富国強兵をスローガンに、日清・日露戦争へまっしぐらの時代になると、同院は「惰民製造所」などと揶揄され、公金も打ち切られた。渋沢は、私財を投じたり、完成したばかりの鹿鳴館で慈善バザーを開催したり、資産家へ(やや強引な)「集金活動」をしたりして資金を確保し、同院を守り抜いた。

 

7月3日から発行の新紙幣。渋沢は1万円札の肖像画に選ばれた。姿形は変われども、福祉の発展のために変わらず活躍してくれることを期待したい。

 

 

 

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