2024年4月17日号 1面 掲載
介護報酬改定2024<私はこう見る> / 一般社団法人日本デイサービス協会 森剛士理事長
2024年度介護報酬改定で基本報酬微増にとどまった通所介護。多様なニーズに応じて短時間型、1日型とサービスに工夫を凝らす各事業所だが、今後生き残るためにはどのような策が必要か。一般社団法人日本デイサービス協会(東京都千代田区)の森剛士理事長に見解を聞いた。
デイは「ほぼ0改定」 アウトカムで結果を示せ
今般の介護報酬改定では、通所介護の本体報酬は0.4%増とほとんど割り振られない結果になった。経営実態調査の収支差率は1.5%と全サービス平均の2.4%を大きく下回り、コロナ禍で深刻な打撃を受けた中での「ほぼ0改定」だ。
人材確保においては、特別養護老人ホームや介護老人保健施設には給与面で勝てない。比較的人が集まりやすいオープニングスタッフであっても集まらないのが現状だ。
デイサービスの中でも、4万3000超もの事業所の中で選ばれる努力が必要となる。
求められているのは、ブランディング力とマーケティング力、商品力、そして効率性と生産性。これらを持つ事業者のみが生き残るだろう。これまでの一連の報酬改定の流れに対し、何も実行していない事業者は淘汰される。市場原理が働くのは当然であり、しっかりとアウトカムで結果を示せているかが重要。公費による事業であるという点で、「存在が許されるデイになっているか」と自問する必要がある。
皆さんが思っている以上のスピードで、大規模化も進むだろう。デイと訪問介護を組み合わせるのか、定期巡回・随時対応型訪問介護看護を組み合わせるのかなど、地域のニーズに沿う形を各社模索していくことになる。
介護保険外サービスを提供する事業者も増えるだろうが、制度ビジネスで数字を出せない事業者が保険外で成功するとも思えない。さらに二極化が進むとみられる。
生産性向上、自立支援・重度化防止に加えて適切なリスクマネジメントも重要だ。人材不足のせいにしていてはいけない。利用者である高齢者を元気にするのは介護職。選ばれる事業所を作るためには、効率的かつ安全でバランスの良い体制整備が求められる。