2024年3月27日号 6面 掲載
新連載【地域をかける在宅医】精神科医こそ在宅の現場へ 医療法人社団さくらライフ 近藤健治医師
医療法人社団さくらライフ
精神科診療部長
近藤健治医師
2008 年浜松医科大学医学部卒業。2010 年藤田保健衛生大学(現:藤田医科大学)病院にて初期研修後、同大学精神神経科学入局し精神科臨床にあたるとともに、同大学院にて研究を行う。2014 年同大助教。2018 年さくらライフに入職し、2020 年から現職。
法人概要
設立:2004 年
法人本部:東京都墨田区
拠点数:14 ヵ所
訪問対象エリア: 東京都、神奈川県東部、千葉県中西部、埼玉県中東部、群馬県西部
患者数:3850 人(2024 年3 月現在)
精神科医こそ在宅の現場へ
「研究成果で多くの人を救いたい」、元々は研究職を志望していた。その過程で病院の精神科医に。後の転職で入職までに時間があり、静岡県にある、みしま岡クリニックで訪問診療を経験した。初めて患者の「生活」を見たのはこの時だ。精神科医は病棟・外来が中心。患者とは毎日のように顔を合わすことはあるが、それはあくまでも点に過ぎないのかもしれない。患者の暮らしを知り、寄り添うことの大切さを身をもって経験した。これが在宅医を目指すきっかけとなった。
現在、終末期の緩和ケアまで担う精神科医として訪問診療を続けている。診るのは「患者」ではなく生活者だ。夜中に頻回にトイレにいく認知症の男性がいた。内科的アプローチは「尿の回数・尿量は?」だろう。状態を知るために必要なことであるが、知るべきは彼のこれまでの人生だ。詳しく聞くと、かつては日中トイレに行く暇がないほどのモーレツ営業マンだったという。これを聞いて診療方針は変わってこないか。
精神科医の在宅医はまだまだ少ない。精神病床削減、8050 問題等、今まさに必要とされているフィールドだ。
おすすめの一冊:「死を生きた人びと」小堀 鷗一郎著(みすず書房)
趣味・休日の過ごし方 : 最近は10 歳の子どもと、バスケット、野球、サッカーなどのスポーツ観戦によくでかけている。