地域の介護医療資源 把握が容易に 自治体向けクラウドサービス開始 TRデータテクノロジー
高齢者施設データの調査・制作のTRデータテクノロジー(東京都中央区)は5月1日、「自治体向けBIツール」の提供を開始した(制作協力:高齢者住宅新聞社)。地域の介護医療資源の詳細がパソコン画面上で視覚的に把握できる。近隣や同規模の自治体との供給比較も容易にできることなどから、すでに複数自治体が導入を検討しているという。
TRデータテクノロジーは介護領域に特化したデータベース構築会社。さまざまなデータを扱う一般的な企業と違い、介護サービス種別に知見のある専任スタッフを揃えているのが強みだ。
現在、全国の高齢者施設・在宅サービス事業所をExcelファイルにまとめた「福祉施設・高齢者住宅データベース」「介護保険居宅サービスデータベース」の制作(販売:高齢者住宅新聞社)、また、そのデータを元にPC地図上でも詳細を把握できる「BIサービス」を展開している。特に情報が不足しがちな住宅型有料老人ホームの整備に定評がある。
今回発売したのは、BIツールを地方自治体向けにアレンジしたもの。医療・介護サービスの供給量など地域資源を確認できるだけではなく、要介護度別の入居者数、入居率なども把握し、住民ニーズとのミスマッチを防ぐ参考データとなる。
近年、要介護度の高い人が主な入居者だったり、ターミナル期に特化したホスピス住宅と呼ばれる施設だったりが増えている。これらはともに住宅型有料老人ホームというケースがほとんどだ。在宅医療機関との密な連携や外付け介護・看護サービスを上手く活用しながら看取り期の生活を担うインフラに育ちつつある。
財政状況の厳しい各自治体は、今後の介護保険事業計画も綿密に練っていく必要がある。公費支出が多くなりがちな病院や介護保険施設をむやみに整備するのではなく、その機能を見極めながらうまく民間サービスを取り入れ地域資源を確保していくことが求められる。
「自分の自治体がどういった状況なのか、近隣や同規模の自治体と比較するなど誰でも簡単にできるようにした」(TRデータテクノロジー・曽根隆夫取締役)
5月から自治体職員向けの解説オンラインセミナーを複数回開催する。自治体からのレポート依頼などにも応じていく考えだ。