パナソニック エイジフリー 品質向上に舵
人事戦略強化も
パナソニック エイジフリー(大阪府門真市)は10日、今後の介護事業方針を発表。量展開を一旦止め、品質・ブランド価値向上を重視した持続可能な成長に舵を切る。
1月にトップに就任した森本素子社長が会見した。同社は在宅サービスを全国に49拠点、サ高住を関東・中部・近畿で59拠点運営。今期のそれぞれの新設は11拠点と前期の半分以下。来期の新設はさらに抑制し3拠点のみとする。
既存施設の稼働率向上や、大阪・東京に設立した研修施設「人財成長支援センター」での人材育成、時間制正社員制度導入などによる人事戦略の強化に注力。18年度の採用は新卒100名、キャリアで1000名を見込む。今後は外国人材の採用も積極的に行っていくという。
また、AIやロボティクスなどグループ力を活かした新たな成長の柱の構築を目指す。
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2018年度は重点施策として、サービスの品質を重視し、持続可能な成長に舵を切ること、ブランド価値向上に注力している。具体的な取り組みとしては、①介護サービス事業の見直し、②人事戦略の強化、③新たな成長の柱の創設3本をあげた。
①では、17年度からリソースを既設サービス拠点に振り向けることにより、稼働率向上を実現したことを説明。営業強化したことから、デイサービス事業は18年度第2四半期には稼働率が74%、サービス付き高齢者向け住宅のエイジフリーハウスの稼働率は79%にまで上昇した。そのほか、在宅の複合サービスであるエイジフリーケアセンターの取り組みとして、午前と午後の2部制デイサービスである「ハイブリッドデイ(仮称)」の導入や、できない動作に合わせたリハビリのプログラムを提供する「生き活きプログラム」の導入について説明。自立支援、加算取得のための取り組みを今後強化していくという。
②では、採用体制を強化し、18年度には新卒で100名、キャリアで1000名を採用していくとした。主に首都圏の採用体制を強化していくという。また、外国人材については、「2025年には50名程度採用したい」と話した。人材教育については、人財成長支援センターを今年4月、大阪と東京に設立し、実践的な研修ができるようにした。また、労働環境の改善のため、時間制正社員制度を18年4月1日から導入。その結果、制度の応募者の離職率は一桁台前半になり、効果があったことを説明した。そのほか、新ユニフォーム考案、社員への表彰などを取り上げた。
③では、パナソニックグループの技術を活用していくことを話した。今後、AIと介護とロボティクスを融合し、先進技術でイノベーションを起こしていく。新商品としては、デイの送迎プランを自動的に作成したり、記録したりと、スタッフの業務負担軽減を図る介護送迎支援システム「DRIVEBOSS」や手すりの太さが統一されているのが特徴の「クリンディ」を取り上げた。
今後の展開について、森本社長は「稼働率を上げていくことで、18年度の売上高は前年比110%の424億円になる見通し。20年度も、顧客満足度の向上を図ることにより500億円に達する見込みだ」と話した。