大和リース(大阪市)北哲也取締役常務執行役員

2015年10月26日

大和リース(大阪市)は昨年から、介護・医療施設向け建築商品「ダイワエスプラス・シリーズ」の販売を強化し、建築件数を着実に伸ばしている。主因は、坪単価45万円からという建築費の抑制とともに、全国49拠点に介護・医療の専門知識を持った専任営業スタッフを配置することで、ハードからソフト、イニシャルコストからランニングコストまで、ライフサイクルコスト(LCC)のローコスト化をトータルで提案しているためだ。同社の取り組みや今後のビジョンなどについて聞いた。

 

全国49拠点に選任営業を配置

 

――事業内容は。

 

1959年の創業以来、大和ハウスグループの中核企業として、建物の企画・提案から設計・施工までを手がけています。部材の規格化により工場生産率を高め、大量生産のスケールメリットを活かして価格競争力を強めるとともに、現場での作業を大幅に削減してきました。
近年では、建物リース業界のリーディングカンパニーとして、耐用年数の長い建物商品や、大スパン空間、耐火、準耐火などの商品を開発し、より高い機能と性能を保有する工業化建築を実現しています。

 

――介護・医療施設向けの建築件数が伸びています。

 

全国の各支店・営業所49拠点に介護・医療分野の専任営業を配置し、専任の担当者には、介護や医療、税務の専門知識の修得に加え、これらの施設の建築、機械設備、電気設備などに関してのスキル習得に向け、計画的な学習会、専門家による講習、ケーススタディの水平展開などでスキルアップを図っています。 これにより効率的な提案とコストを抑えるための幅広い知識を養っており、最終的に全員コンサルを目指しています。

 

――介護・医療専用の建築商品を販売したきっかけは。

 

特養の待機者の多くは安く入所できるサービスを望んでいますが、低~中間所得層向けの高齢者入所施設が絶対的に不足しています。この人たちの住まいの整備が必要で、ここにビジネスの芽があると考えました。
高齢者住宅・施設自体をローコストに抑え、賃料を抑えることにより、その分のお金を他のサービスに回すことができる商品として、「ダイワエスプラス・シリーズ」を開発。品質とコストの両立を主軸においた結論が「ダイワエスプラス」だと自負しており、年収200万円程度の高齢者でも支払える家賃設定(月額4~5万円想定)のサービス付き高齢者向け住宅、グループホーム、有料老人ホームなどの販売に注力しています。

 

――なぜ、建築費が高騰する中、高品質・低コスト建築が可能なのですか。

 

ダイワエスプラスをベース(スタンダードタイプ)にシステム化し、自社工場による材料調達と加工により、時間のロスと材料の無駄を徹底排除し、高品質と低価格、そして短期納入を実現しています。これが現状に適したビジネスモデルだと考えています。
要支援・要介護者の人口は、2030年にピークを迎え、その後、減少または横ばいに転じ、高齢者住宅や介護施設の供給がそれで飽和状態になるかもしれません。そのようなことが予想される中でも、当社の低コスト建物であれば投資の回収は20年以内で済み、投資リスクは軽減されると考えています。

 

 

――今後のビジョンは。

 

今後展開される地域包括ケアシステム、医療・介護連携において、?人材確保、?ローコスト施設提供、?ランニングコストの削減が重要課題だと考えています。このような課題解決に向けたサポートの強化として、建築工事費のコストダウンは当然ですが、高齢者住宅・施設のあり方についてイニシャルとランニングを様々な角度からトータルコーディネートできるように各専門企業と連携し、提案活動をしています。
以前から取り組んできた官庁発注のPPP・PFI事業などの実績経験を活かし、ハードからソフト、イニシャルコストからランニングコストまで、ライフサイクルコスト(LCC)の低減をトータルに提案することで、増加する高齢者住宅・施設ニーズを捉えることができると考えています。

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