介護職離職率に数値目標 「雇用管理改善等計画」改正案
厚生労働省は4月13日「介護雇用管理改善等計画」の改正案を発表した。改正案では介護労働者(介護職員・訪問介護員)の離職率に一定の数値目標を設定するなど、職場定着に取り組む姿勢を明確にしている。計画期間は今年度から2020年度まで。
事業者の56% 人手不足実感
(財)介護労働安定センター(以下・センター/東京都荒川区)が実施した「平成25年度介護労働実態調査」によると、介護労働者の過不足状況を「適当」と回答した事業者が43.0%であったのに対し「大いに不足」「不足」「やや不足」と回答した事業所は56.5%と、人手不足感が顕著。特に訪問介護員については73.6%の事業所が「不足感あり」と回答している。
また、厚生労働省の「職業安定業務統計」によれば、2013年度の介護関係職種の有効求人倍率は1.91倍で、同年度の全職種の有効求人倍率0.87倍を大きく上回っている。特に、東京都と愛知県は3.0倍を超えており、人材不足が深刻な状況だ。
今回の計画案では、こうした状況を受けて、介護労働者の雇用管理改善などについて、計画期間中に達成すべき項目と到達目標を以下の様に定めた。
まず、2013年度の2職種合計の離職率は16.6%であり、全産業平均の15.6%を上回っている。この乖離をできる限り縮小することを目指す。特に、センターが相談を受けるために訪問した事業所については、離職率を14.0%以下とする。
また、離職率は職員数が少ない事業所、開設して日が浅い事業所ほど高い傾向にあるため、センターは、職員20人以下もしくは開設3年未満の事業所の相談業務を強化する。具体的には、それらの事業所の訪問相談件数を全訪問相談件数の50%以上とする。
この他、
(1)センターが行う介護労働講習について、講習修了後3ヵ月時点の就職率を継続的に85%以上とする
(2)雇用管理責任者を、介護労働者からの相談への対応・労働者の雇用管理に改善などに関する事業主や施設長などの責任者から専任した事業所の割合を全体の50%以上とする
(3)人材育成の取り組みのための方策として、「教育・研修計画を立てている事業所」を全体の60%以上とする
などの目標と定めている。